三重の食文化

和食文化の源流の地

温暖で肥沃な平野と豊饒の海を擁する伊勢は、山海の幸に恵まれた「うまし国」。「美しくすばらしい国」という意味も持つこの言葉が表すように、この地は日本ならではの四季の移り変わりを持ち、その美しい自然の中で育まれる四季折々の食材を味わう食文化が脈々と受け継がれています。それは和食という文化の源流にほかなりません。

受け継がれる御食国の心

恵み多き海に面した志摩は、古の時代から神宮や朝廷に海の幸を届けてきた“御食国(みけつくに)”です。あわびやサザエなどの海産物は当時より都の人々に愛され、日本の豊かな食文化を育んできました。そして、土地の人々は自然を大切に守ることでその恵みを受け継いできました。美しくあり続ける志摩の自然とともに、その心は今もしっかりとこの地に根づいています。

自然と共存する海女文化

「海女」とは、あわびやサザエ、海藻などを素潜りで採る女性のこと。奈良の都に運ばれた貢納物の荷札(平城京木簡)には、現在の志摩市波切から西暦745年にあわびが運ばれたことが記されており、古くから海女漁が盛んだったことが分かります。また、鳥羽・志摩の海女たちは、漁の期間や採る大きさなど数多くのルールを決め、海の資源を守る取り組みを行ってきました。鳥羽・志摩の海女たちの中には、そうした自然とともに生き、自然を守る文化が生き続けています。